耳よりハンター

知的障害者の「性教育」について その2

 著者がであった「性」に関する事案を紹介することで、年齢・能力・特性・発達段階に応じた指導の参考になればと思います。 

【男性編】

1,スクールバスから降りてくると、若い女の先生の前に行き、ズボン・下着をおろす生徒への対応

ズボンを下ろすと若い女の先生は、「キャーッ」と奇声を上げる。それを本人は挨拶と思っているようです。そこで、職員の共通理解で「ズボンを下げても、キャーッとはいわないで、ズボンを上げるように指示。」

代わりに「ハイタッチをし、おはよう」と声掛けすることで、挨拶とするように指導。数か月すると、ハイタッチでの朝の挨拶になりました。

指導法で「Aさせたいなら、Bせよ」と言われます。Aという行動をやめさせたいと、「Aしない」と強く叱責しても、なかなかとまりません。

本人が興味・関心をもてるBなる行動、社会的にも承認される行動を探していくことです。

2、中学部の重度の、男子生徒で、どこでも自慰行為をする 場合の対応はどうする。

その行為する場所として、トイレなど教えていく必要があります。が、それよりも人間の広場からほうりだされた人間の姿です。「一人ボッチにされてるぞ」「先生どうしてくれるんや」と訴えているのです。こうとらえれば、対応は違ってきます。

彼に仲間と共にする活動が準備されるべきです。

 感覚遊びから始まったと考えられるなら、他の感覚「聴覚」「視覚」を刺激する遊び道具を検討して、提供するのも一策かもしれません。本人が普段から興味・関心を持っているものにヒントがあります。

3,女性のブラジャーに関心を持ち、後ろからブラジャーの背中部分を引っ張る生徒への対応はどうする。

本人の能力・発達段階によりますが、「してよいことと悪いこと」を厳しく指導する必要があります。何がきっかけで覚えたかわかりませんが、興味・関心を別の方向に振り向けることです。

指導法に「ABC分析法」があります。現在している行動「B]には、その行動「B」を起こさせる原因「A」があります。行動「B]に対する評価「C]があります。原因「A」が取り除かれれば、行動「B」は起こらなくなるでしょう。行動「B]に対する評価「C]が変れば行動「B]も違ってくるでしょう。原因「A」や評価「C」をどう考えていくかが支援者に求められることであり、支援者でそれを共有し、同じ歩調で支援を続けることで、行動も変容していくでしょう。繰り返しの支援の時間も必要です。

4,就労継続B型の利用者で、体調がすぐれず作業に集中できない人への対応はどうする。

どうして体調がすぐれないのか、その原因から確認します。原因は、自慰行為に日に何度もしていて、睡眠の時間も十分とれず、生活リズムが狂っているとわかりました。

自慰行為は悪いことではないが、働いているのだから、仕事に影響が出るのはよくないでしょうと。自慰行為は土曜日にするように生活指導することで、少しずつ生活のリズムが整っていきました。

5,父親がこっそり見ていた性的なDVDをたまたま見つけて、本人も見ていた。

内容は演出されてたものだが、映像が現実のことだと、DVDの内容に似た行為をしてしまった。脚色された架空の世界と現実の世界との違いを判断する能力に課題を抱える知的障害者には、常に注意しておく必要があります。家庭内での対応(不要な情報の管理)にも注意しましょう。

親の責任です。

コンビニの書籍コーナなどで、その手の雑誌を立ち読みしているかもしれません。

【女性編】

1,同じ作業所の利用者に身体を触られたが、どうしてよいのか、わからないという女性への支援は?

嫌なことは、はっきり「しないでください。」ということ。日ごろから口にしていないと緊張で出ません。 「止めてください。」を日々練習するのも大事。それでもだめなら「どこでも大声を上げる」ことを指導しておく必要があります。また「大声で泣く」と何があったのかと、誰か近くの人が来てくれます。恥ずかしいからではなく、自分を守る方法として身に付けておくのがいいのではないでしょうか。

それから警報ブザーを常に持ち歩くことを忘れないようにしましょう。

外国に留学した女性の性被害にあいそうになったときにどう対応したかという話を聞いたことがあります。日本を出る前に知人から「安全は日本ほどではないから、夜は出歩かないこと。」が前提だと。たまたま男性に襲われそうになったら、その場で尿を漏らす。尿をもらしているいる女性は敬遠すると。お金をとられても命を守る行動をとることだと。

                                        文責:N

2024年2月7日

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