うちの子、やる気をだせばもっとできると思うのだけど。やる気を出すのはゲームだけ。
そんな親の嘆きが聞こえてきます。
かつて、ある進学塾のテレビのCMでしたか、「やる気スイッチ」と言ってましたね。
「やる気」は「努力すれば好ましい変化を達成できる」という自信や見通しを持ち、それがバネとなって生き生きと環境に働きかけていく状態にあることでしょう。
「無気力の心理学 やりがいの条件」波多野誼余夫・稲垣佳世子
努力しても苦痛や欠乏などの「具合の悪い」状態から脱け出すことができない、という経験をかさねると、動物でも人間でも、すっかり無気力になってしまい、改善が可能なときでさえ、それを試みようとしなくなる。とも心理学の研究は報告しています。
どうすればよいのでしょうか。
「今度の算数のテスト、70点以上だったら、ゲームソフトを買ったあげる。」と、思いつきます。
でも、人は単純ではないのです。考えさせられる心理学の実験を紹介します。
(1)ごほうびをあたえる
実際の保育場面で絵を描くことが好きで、自由遊びの時間にもよく絵を描いている幼児での研究。
好きな絵を描くように実験者からたのまれた。「よくできたらごほうびをあげる」と約束された群。
金星と赤いリボンの飾りのついた賞状で、子どもの名前と園名入り。かなり魅力ありそう。
第二群は、ごほうびの約束をせず、「絵を描いてほしい」と大人からいわれ、好きな絵を描いた。
終了後、第一群と同じようにごほうびをもらった。「予期せぬごほうび」群ともいえよう。
第三群は、ごほうびの約束もなく、また実際ごほうびを与えられなかった。
描きあげた絵の枚数は、ごほうび予備群の子どもが、他のニ群の子どもに比べて明らかに多かった。ただし、絵の質は低い傾向があった。
この体験の1~2週間後の自由遊びの時間における子どもたちの行動が観察された。
ごほうび予告群の子どもは他のニ群に比べ、明らかに自発的に絵を描く者が少なかった。
彼らは以前よりも絵を描くことへの興味が減ってしまったかのようであった。
他のニ群の子どもには、そのようなことはみられなかった。
なんとも暗示的な実験報告ではありません。ごほうびの効果と負の影響を考えさせられます。
ただ単にごほうびを出せばよいというものではありません。ごほうびがエスカレートする場合も。
ところで、心理学では、ほめることが子どもの行動を大きく変化させるので、「正の強化」と呼んでいます。
(お金や金星マーク、自転車のような)物や(キャンディやクッキーのような)食べ物、また(サッカーをしたり、学校で自由時間をすごすといった)活動がそれです。(強化因といいます)
強化因はすべての子どもに同じものではありません。強化は、反応が起こると、すぐに、その行動に確実に随伴させることも重要です。
ほめたり、ほめなかったり気まぐれな対応になってはいけません。
文責:N
2022年10月18日
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