耳よりハンター

職場適応を支える要因

 特別支援学校の高等部を卒業して、一般企業に就職していく生徒が多くなることは教育の成果としてとてもうれしいことです。

 その企業に10年、20年と雇用され続けられることを願ってやみません。

 でも働き続ける中で何かと問題に出会うものです。その問題を解決して働き続けるための支えになるものを持ち合わせるのか気になります。

 古い文献で申し分けないが、「精神薄弱者の職場適応について」三沢義一・小畑文也

(特殊教育学研究・1987)が参考になるのでは、と紹介します。

 知的障害者のよりよい職場適応を支えるには、本人自身の諸条件もさることながら、周囲の人間関係要因や職場配置などの周辺的諸条件に支配される面が多大である。

 同論文は、職業適応評定尺度の分析の結果、5つの因子(作業適応、勤務態度、人間関係、身辺処理、耐性)をあげています。

作業適応の因子は、説明率も極めて高い。説明に及ぼす項目の上位は

 ①かなり難しい仕事でもこなせる。

 ②仕事に早く慣れる。

 ③仕事が変っても、まごつかない。

 ④仕事が早く、十分量をこなす。

 ⑤できる仕事の種類が割合に多い。

 ⑥一度習った仕事はよく覚えている。

 ⑦仕事の流れにのれる。などである。

企業側は作業の能率や質の高さを求めている。

2番目の因子は勤務態度です。

 ①分けの分からない要求を持ち出すことはない。

 ②反抗や言い逃れなどが少ない。

 ③職場の同僚や異性との間にいざこざをおこさない。

 ④賃金や待遇に特に不満を訴えない。

 ⑤多動、おしゃべりの傾向がない。

 ⑥時間をよく守りけじめのある行動をする。

3番目の因子は、人間関係です。

 ①休憩時間などでは、周囲の人々と楽しく交流できる。

 ②明朗でいつも快活である。

 ③あいさつ、応答が普通にできる。

 ④わからないことは、素直に質問する。

4番目の因子は、身辺処理です。

 ①衣服をきちんと身につけている。

 ②人に言われなくても、身辺を清潔にできる。

 ③髪の手入れ、ひげそりなどが行き届いている。

 ④食事のマナーや動作ができている。

5番目の因子は耐性です。

 ①しんぼう強く、飽きない方である。

 ②気に入らない仕事にも、よくたえる。

 ③仕事に選り好みが少ない。

 職業人としての健全な人格の発達、労働習慣の確立、基礎的なスキルの獲得など学校教育はより一層配慮すべきである。と結んでいます。

                                 文責:N

                                  

2022年10月4日

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